東の空の金星
月曜日の明け方。

私と大和さんは一緒に起きだし、ふたりで並んで大きな窓から輝く金星を眺める。


昨日はベッドから起きて食事やシャワーなどの用事をすませると、
また、ベッドに連れ戻される。という事を繰り返し、
大甘な1日を過ごした。

やれやれ。
同棲したてのカップルみたいだ。
いや、みたいじゃなくてまさしくそうだったなと思い出す。

毎日顔を合わせても、触れないようにお互い気をつけていたから…。

大和さんは私が隣にいる事を何度も確かめるように私を抱き、
私は大和さんの腕の中でほとんどの時間を過ごした。

まあ、いくらでも確かめて安心して欲しい。

私はいつでも、大和さんを見上げているのだから…。



「将太や、芳江さんには早く言わないとダメだよなあ。」と大和さんが私の顔を見る。

「芳江さんにはすぐに気づかれそうですよね。
やっぱり怒られるかなあ。」と言うと、

「怒られるのは俺だろ。従業員に手を出してって…」と顔をしかめるけど、

「今日、遅く出勤して、話すことにするよ。」と笑って、2度寝をしに控え室に入って行った。

芳江さんには

私も大和さんと一緒に怒られよう。と思って気持ちを切り替え、


本日のパンを作ることにする。
今日は茶色い月も焼いて、朝食にしよう。




私は大和さんに愛されている。と思うと、

顔が緩むのを止められずに微笑みながらパンを焼く事になった。
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