東の空の金星
9月。

シマが俺のオートバイが欲しいから、起こして見せるといった。

山下さんまで、巻き込むなんて、
人騒がせな事だ。


ものすごく頑張っていたけど、真っ直ぐ立ち上がらせるのは、きっと無理だ。
踏ん張った足がずるずると滑り出す
思わず、手を出すと、
「手伝わないで!」と声をあげる。

意地っ張りが可愛らしいが、怪我をさせる訳にもいかない。

周りのオトナは、俺に頷いて、手伝えといっている。
手伝ってオートバイを立ち上がると、シマは放心状態になった。

そんなに、頑張って、何がしたいんだろう。


と思ったら、山下さんが、俺のためだと耳打ちして来る。

俺をバイクに乗せたいのか?

乗らない。といったのに?

なぜ、アザだらけになる?

…なぜだ?



オートバイがメンテナンスが終わり、受け取る時、
山下さんにシマが言っていた事を聞いた。

未来を見て欲しいと
桜子もそれを望んでいると。
今の俺の生き方は腹立たしい。と


俺はいつの間にか周りにいる奴らから心配されるような、
そんな生き方をしていたらしい。
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