東の空の金星
先約は見合いだったと知り、
キャンセルさせてもらう事にした。


シマを日帰り温泉に誘うと、

嬉しそうな声を出して、

一緒に出かける事になった。


車の前で急に立ち止まる。

どこに乗るべきかと考えているのだろうか?

今の俺の隣はシマ専用だよ。

そうは言えないけど、自然な態度で助手席のドアを開けると、
「ありがとうございます。」とちょっと頬を染めて、乗り込んでくる。とても可愛い。

今日、出かけるのは明らかにふたりの意志だけだ。

少し緊張してるかな?

大丈夫。
俺は距離を詰めて、驚かせたりしないよ。

シートベルトを締めているシマに心のなかでいっておく。

シマが目の前からいなくなるのが怖い。

この笑顔が見れなくなったら、何を楽しみ毎朝起きたらいいのだろう?

と思いながら、シマの顔を見て、

つい俺も笑顔になる。

俺は今のままで満足だ。と自分に言い聞かせて

車を発進させた。
< 144 / 189 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop