東の空の金星
正月休み。

シマが店で出すピザの試作をするという。
俺はシマを置いてどこかに行くという決断が出来ずに一緒に過ごす事にした。

毎日昼間も顔を合わせて店の中で過ごす。
最近はお互いの存在が当然のようになっているような気がする。

もう、これ以上近づくと、
関係が修復できないほどになる。と俺の心は警告を発しているのに…。


俺は毎日シマと寄り添うように一緒にいる。

3食一緒に食事をし、一緒に出かけて、一緒に家に戻る。

恋人じゃないけど、

手を掴んで階段を登ったり、同じ皿の料理を分け合って食べたり、
自然に車の助手席に座らせ、
体を密着させてオートバイに乗るのが普通になっていく。


どうしたらいい?

そのうちに俺は我慢できなくなりそうな気がする。

シマの髪の匂いや、柔らかい息を吐く唇を自分のものにしたいと

小さな身体を強く抱きしめたいと、



シマが欲しい。


俺の心は
そういっている。




もう、離れなければならないのか?

シマを傷つけたくない。

いくらシマを好きになっても、

俺は桜子を忘れる事は出来ないのだから…。
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