東の空の金星
俺はシマに向き合って立つが、

自分の気持ちをうまく言葉に出来ない。

いつもの口調で、注意しようとすると、シマが

「殴られてもキスしたいって思った事はないんですか?」

といった後に俺に突然キスをした。

思考が止まる。

抱きしめてしまいたかったのに、俺は動けない。

俺が自分の気持ちを上手く言葉に出来ないうちに、

「ペットか、年の離れた妹だって思っているのは分かってる!」

とシマは叫んで、でかい目から涙をポロポロ落としながら玄関を出て行った。

そうじゃない。

ちゃんと女として見てるからこんなに苦しいんだろ。

そう言ってしまいたい。

どうしたらいい?

俺はシマを傷つけたくないのに…


シマだけを愛すると、桜子は忘れると俺は誓えるのか?


無理だ。きっと。


桜子を忘れなくてもシマを愛していいのだろうか?

そんな愛し方しかできない俺でも、シマは愛してくれるのだろうか


ふと、俺は気づく、

今、抱きしめてしまわないと永遠に失うのじゃないのかと

もう、戻ってこないつもりなんじゃないかと

そう思ったら、


もうダメだった。


俺はシマを愛してる。

一緒に生きて行きたい。

それが俺の答えだ。

そう決めることが出来た。
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