東の空の金星
美しい桜を見上げても、
涙は出ない。

3年付き合っていた2歳年上の恋人は
すぐに結婚を口にするような男だった。
結婚したら…
結婚式は海外で…
家族が出来たら…

そんな事を言っては笑い合い、
手を繋ぎ、
ベッドでじゃれあった。

去年のクリスマスまでは…

他に好きなひとが出来た。
シッカリしている
おまえと違って放って置けないひとなんだ。

そう言って、
私の元をアッサリ去って行った。

どうしたら良いのかわからず、
クリスマスもお正月もひとりきりで過ごした。

会社にはいつも通り通い
家ではいくらでも涙が流れたけれど、


彼と付き合った日々は夢だと思う事にした。


すぐに忘れられる。

きっと。

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