東の空の金星
この店のオーナーは建築事務所に勤めていて、
個人のお店を設計したりする仕事に就いていて、
この家もオーナーの設計っていうことだった。

どおりで、おしゃれでシックで贅沢な空間な訳だ。

マスターはオーナーの事を
「いまは独り者で仕事だけしかしていない。
無愛想な男だ」
と評しているけど、
(いまは独り者ってことは、前は妻がいたってことだろう。)
オーナーはマスターの高校の先輩で
本当はとても仲が良い。ということだ。


その先輩は
店がオープンしている間は顔も出さないし、
仕事がお休みの時は、ここもお休みだから
カフェの経営には興味はないのかな?

オーナーは副収入のために
自分が仕事でいない間だけ、
ここを店舗として貸し出しているのかもしれない…



私はマスターと相談し、
数種類の小麦粉や、塩、砂糖、イースト菌や、
卵や少し高級なバターなんかをとりあえず、仕入れてもらい、
私の好きなパンを作って、その中から、いくつかのパンを提供できるようにしようと
話し合った。

開店前に店に入れるようにオーナーの許可を取って、
合鍵をもらっておく。
何を作ろうか

ワクワクする。

やっぱり、私はパンを作るのが大好きだ。


来週の月曜から、試作作りだ。
オーブンの癖も確認しなければならないしね。
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