東の空の金星

風を切ってオートバイは進む。

エンジンの音が体に響いて、景色が流れていく。

「気持ちいい」と風に負けないように大声を出すと、

「俺もー。」と声が聞こえる。

鎌倉の山を抜けると、桜のトンネルが待っていた。

道の両側から、大きく枝を広げた桜の木が空を覆っている。

「綺麗ー！」と上を向いて道を通り抜ける。

「気に入った？」

「すごーく！」と叫ぶと、

「もう一回通ろうかー。」

と笑った声で、桜のトンネルを通り抜けると来た道を戻って、
もう一度、桜の木の下を通り抜け、山の上の公園に着いた。