東の空の金星
夕暮れで辺りは赤く染まる。

「今日はありがとう。
楽しかった。」と言うと、

「…離れがたいって思うのは俺だけか…」と私の顔を覗く。

…うーん。私も離れがたいけれど…
私が迷った顔をすると、

「海沿いのあの辺りに夜景の見えるホテルがあって…
部屋で少し飲みながら、夜景を見るってどうかな?
…俺っていっつもこんな事は言わないんだけど…
でも、このまま別れたくないって…」

と少し、照れたように言うので…

このまま、帰りに何も言わずにホテルに入るより、

チョットは誠実かしら…

いつものナンパの流れなのかしら…

と思う自分がいたけれど、

「夜景を…見せてください。
私だって、いつもはこんな事は言いませんけど…」

と、今日は桜が綺麗だったせいだ。

そう思う事にした。
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