東の空の金星
海沿いのホテルに入ると、夜景を見る暇は与えられず、

ベッドの上に押し倒された。

「サクラコ…会ったばかりだけど、好きになった。」と真っ直ぐに見つめてくる。

私が目を閉じると、深く唇を割って、くちづけされる。

大人のくちづけ。さっき飲んだコーヒーと、煙草の匂いがする。

…タバコを吸うって、くちづけしなければ気づかなかった

触れ合ってみなければわからないこともある。

私がくちづけに応えると、服を丁寧に脱がせ、ベッドの下に捨て、

男の唇が私の体のラインをたどっていく。

思わず声が出る。

「…サクライさん」と呼ぶと、

「ヤマトって呼んで…」と切なそうな声を出す。

それって本名かしら…とボンヤリした頭で思うけど…

「…ヤマト」と何度も呼びながら、体を震わせると、

「好きだよ。サクラコ。」

そう言って、男は私に何度も声をあげさせてから、

体を深く繋げて来た。
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