東の空の金星
近い距離でお互いの目が合うと、

「我慢できない。」

とヤマトは急に唇を重ねてくる。

私はおとなしくくちづけされることにする。

ここが昼間の海辺の駐車場だって構わない。

私達を避けるようにひとが通って行くのがわかるけれど、


私もヤマトにくちづけされたかった。


激しく甘いくちづけ。


ひとしきりくちづけすると、

ヤマトはゆっくり唇を離して私に微笑みかける。

「ゆっくり知り合うのは無理だな。」

と照れたように言って、私の顎の下の留め具をパチンと留める。

「…煙草の匂いがしなかった。」と私が呟くと、

「もう、桜子に逃げられないようにタバコはやめたんだ。」と顔をしかめ、

「桜を見に行こう。」

とオートバイに跨って、振り返り、大きな笑顔を見せた。

…やっぱりこの笑顔が好きだ。と心の中で呟き、

ヤマトに笑顔を返してから、

大きなバイクに跨ってしっかりヤマトを抱きしめた。
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