東の空の金星
翌日、出会った場所の大きな桜をもう一度、ふたりで見に行ったら

その桜の木の先の坂の上にヤマトの実家はあるらしく、
(1年前のあの日は、実家から帰る前にちょっと歩いて桜を見に来たって事らしい)

ヤマトのお母さんが車で通りかかってしまい、

実家のリビングで紅茶をいただく事になってしまった。

日曜日だったから、お父さんもいたし

結構、大きなおうちで、お手伝いさんってモノを初めて見た。



予定外だ。

親に挨拶するなんて…。

ものすごく緊張したけど、

ヤマトのお母さんは私を『桜子さん』と名前で呼んでくれて、

また遊びに来るよう約束させられてしまった。

付き合うと決めたばかりだったけど…。


ヤマトは紹介する手間が省けたと言って、

まんざらでもなさそうな顔をして

私が緊張して両親と話す様子を笑って見ていた。
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