東の空の金星
暗い中、足を動かす事に集中しながら、早足で歩く。

店までおおよそ歩いて45分。
もちろんこんな時間に電車は走ってない。
車や原付の免許ももっていない。
ただただ歩くしかないのだ。

今回借りた部屋は小田急の江ノ島の駅近くのウィークリーマンションで家具家電付きだ。
新しくイロイロ揃えるのはお金がかかるし…

店の周りは高級住宅街で、私がひとりで借りるには高すぎるし、海の側は人気で空いている部屋は見つからなかった。

また、時間とお金に余裕が出来たら考えよう。


昔の男と使った物は、1人で使う気持ちにならずぜんぶ部屋に置いて来てやった。
処分に困ればいい。
ちょっとした嫌がらせのつもりだ。

でも、新しいオンナが気にせず、私が使っていた物を使っていたなら、
それはちょっとしたホラーかもしれない。

と少しおもったりしながら、海沿いの一本内側の道を歩く。
ここは商店街や、住宅がある道であんまり怖くない。
やっぱり、都内と違って明け方に人通りはないな。と思いながら歩いていると、
もう、店の前の坂道だ。

だんだん夜が明けてくる。

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