東の空の金星
11時を過ぎて芳江さんに声をかけ、
パンを選んで持って帰って食べてもらう事にする。

「大和さんが言っていた『茶色い月』をいただきます。」と芳江さんが笑ったので、

「『茶色い月』ねえ。これすごく美味いよ。」
とマスターは言いながら
袋にプレッツェルクロワッサンと普通のクロワッサン。
ブリオッシュ、とイチゴのデニッシュを詰めて芳江さんに渡す。


「シマさんと大和さんは仲良くなれそうですね。」と芳江さんは私の顔を見る。

「…努力します。」と私が言うと、

「大和さんもそろそろ私達以外の人と交流しなければ…
シマさんは良い影響を与えそうです。」とマスターの顔を見て、微笑む。

「俺は先輩のためにシマリスを雇ったんじゃないけど。」

と芳江さんに笑いかけている。


ナンノコッチャ…って感じだけど…

私は別にオーナーと仲良くならなくってもいいです。

と心の中で言っておいた。
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