東の空の金星
私は怒りながら、家に帰って、
料理をする気にもならず、
レンジでチンのパスタを2個も食べた。

明らかに食べ過ぎだ。
胸焼けがする。

あのオーナーはワガママすぎる。

自分の心配を私に押し付けているだけだ。

と缶ビールもプシュッと開けて、グラスにも注がずにグビグビ音を立てて飲む。

そして、シャワーを頭から浴びて、
スポンジにお気に入りのハーブの石鹸を泡だて、ゴシゴシと身体をこすった。

チョット痛い。

私はハーブの香りが広がる浴室で、
だんだん落ち着いて、湯船の中に沈み込む。


ため息が出る。

夜明け前に仕事に行くのに、
店の近くに部屋を確保しなかった私にも落ち度がある。

雇い主がパン職人の仕事の仕方について知らなかったのも、

仕方がない事だ。

だからと言って、店に住むってどうなんだろうか?

それも、オーナーと一緒に。



まあ、あのヒトは女としての私には全く興味は無さそうだし。

もちろん私だって、そんなつもりはない。

よく考えれば16歳も年上だ。

中身は子どもの部分もあるようだけど…。
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