東の空の金星
翌週から私のパンのランチがが始まった。

5種類のパンから好きなものを5個まで選べ、
(女性は3個~4個かな。)
チョップドサラダとスープが日替わりで付くようにした。

珍しさもあって、パンのセットを頼む人達も多く、
口コミや、SNSで広められたりして
天気の良い日は少し外に並ぶ人もいたけれど、

平日にしか店はやっていないし、
11時半から14時まででランチはお終いだし、
まだ、遥香さんも手伝ってくれたので、
忙しくても、毎日平和に過ぎていった。

ランチの後はスコーンとケークサレを提供する事にして、
3時のおやつになるように用意する事にした。

住み込むことで私はオヤツを焼く時間ができた。って感じかな。

週に1度の「茶色の月」(プレッツェルクロワッサン)は
毎週曜日をずらして焼き、
オーナーはもちろん、お客様にも1番人気で、
メニューにも『おひとり様一点づつ。』と注意書きを書き加えた。

マスターは、ハイスペックなパン職人に払える給料はないから、
住居費分が上乗せできた形になって、良かった。とホッとしていたし、

芳江さんは毎日私の分の夕食もオーナーの食事と一緒に用意してくれているし、
私は食事付きの社員寮に住み込んだ気分だ。

お得過ぎてなんだか申し訳ないけれど、

そのぶん私はパン作りで返す事にしようと思った。
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