東の空の金星
5月の終わりの日曜日。

週末は寝て過ごすと決めている私が昼近くまでウトウトと、眠っていたら、

控えめなノックの音と共に

「シマリスー。芳江さんが飯を食えってー。」とオーナーの声が聞こえた。

芳江さん?

今日は休日で芳江さんもお休みのはずでしょう?

「ご飯ですかあ~?」とマヌケな声が出る。

「豆ご飯作ったから、一緒に食べようって。」とドアの外で声がする。

グリンピースのご飯!?
大好物だ。

「た、食べます!」と飛び起きドアを開けると

「寝癖ヤバイ。」と下を向いて、笑うオーナー。

私は慌ててドアを閉め、

「直ぐ用意して行きます!」と言うと、

「はいはーい。」と笑った声で、足音が遠ざかった。

寝起きでパジャマ。

…失敗した。



26歳のオトナの女のする事じゃなかったな。

…でも、この間、芳江さんに
私が豆ご飯が好き。って話したのを覚えていてくれたんだ。
ってすごく嬉しい。
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