東の空の金星
一緒に門を開けて、通りに出る。

「じゃあ。」と頭を下げて坂道を降りると、

オーナーも後ろをついて来る。

私は振り向いて、

「車じゃ、ないんですか?」と聞くと、

「ビール飲んだ。
シマはどこに行くんだ?」

「江ノ島の中って入ったことがないんで、
この際、行ってみようかと…」

「じゃ、俺も行くかな。天気良いし。
行くところなんて思いつかない。」

…何でついて来る?

私が呆れた顔をして、スタスタ歩くと、

「隣を歩けよ。後ろからついて行ったらストーカーみたいだろ。
…お茶を奢るから。」

「ケーキもつけてください。」と足を緩めると、

「まだ食うのかよ。スゲーなおまえ。」

「いまはたべませんよ。」と顔をしかめると、

オーナーはおかしそうに笑った。
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