東の空の金星
朝10時。
私はパンを持ってホスピスに向かった。
『潮騒療養所』
なんとなく、古臭い印象の名前だけど、
院内は明るくのんびりした雰囲気だ。
近所の人のために内科とか外科の外来もあるらしいけど、
終末期を穏やかに過ごすためにこの病院はあるらしい。
受付を覗くと、優香ちゃんの姿があったので、
ちょっと目礼すると、ツンと事務室に入ってしまった。
やれやれ。
これはあの王子が悪いだけで、私が悪いわけじゃない。
と自分に言い聞かせ、
他の受付の女性に院長室の場所を聞いて、エレベーターに乗り込んだ。
1番上の階の院長室をノックすると、
小泉院長が笑って迎えてくれる。
パンを渡し、挨拶をして帰ろうとすると、
「昨日はありがとう。
あれから、三島先生が君の事を才能がある。ってとても褒めていてね。
若い子がヘソを曲げてしまったよ。
まあ、三島先生とも、他の女の子とも仲良くしてくれ。」と楽しそうに笑った。
いや、笑い事じゃないけど…
なんでそんなことになる?
私にとってはどちらも同じお客様だ。
あの、王子は結構、面倒な男かもしれない…
と思いながらエレベーターの乗って、
1階でエレベーターを降りようとすると、
「シマちゃん。捕まえた。」
と王子が満面の笑みで目の前に立って、
再びエレベーターの中に私を押し込んだ。
「な、何するんですか?」
王子は『閉じる』と『R』のボタンを押して私に向き直る。
「ちょっとだけデート。」と私を奥に追い詰め、手で囲って閉じ込める。
おい、犯罪だぞ!ときつく見上げると、笑った瞳で私を見つめている。
なんだ冗談か。
…やっぱり、面倒な奴だったな。
私はパンを持ってホスピスに向かった。
『潮騒療養所』
なんとなく、古臭い印象の名前だけど、
院内は明るくのんびりした雰囲気だ。
近所の人のために内科とか外科の外来もあるらしいけど、
終末期を穏やかに過ごすためにこの病院はあるらしい。
受付を覗くと、優香ちゃんの姿があったので、
ちょっと目礼すると、ツンと事務室に入ってしまった。
やれやれ。
これはあの王子が悪いだけで、私が悪いわけじゃない。
と自分に言い聞かせ、
他の受付の女性に院長室の場所を聞いて、エレベーターに乗り込んだ。
1番上の階の院長室をノックすると、
小泉院長が笑って迎えてくれる。
パンを渡し、挨拶をして帰ろうとすると、
「昨日はありがとう。
あれから、三島先生が君の事を才能がある。ってとても褒めていてね。
若い子がヘソを曲げてしまったよ。
まあ、三島先生とも、他の女の子とも仲良くしてくれ。」と楽しそうに笑った。
いや、笑い事じゃないけど…
なんでそんなことになる?
私にとってはどちらも同じお客様だ。
あの、王子は結構、面倒な男かもしれない…
と思いながらエレベーターの乗って、
1階でエレベーターを降りようとすると、
「シマちゃん。捕まえた。」
と王子が満面の笑みで目の前に立って、
再びエレベーターの中に私を押し込んだ。
「な、何するんですか?」
王子は『閉じる』と『R』のボタンを押して私に向き直る。
「ちょっとだけデート。」と私を奥に追い詰め、手で囲って閉じ込める。
おい、犯罪だぞ!ときつく見上げると、笑った瞳で私を見つめている。
なんだ冗談か。
…やっぱり、面倒な奴だったな。