東の空の金星
そのまま黙りがちにふたりで家に戻ると、

マスターから電話があって、
遥香さんの陣痛が始まって入院した。と連絡があった。

私達は一気に気分が盛り上がって、
すぐにでも、会いに行きたいって思ってたけど…
生まれてくるのはどうやら、朝になってかららしい。って聞くと、
ソワソワと落ち着かない気分で
店の中を歩き回った。

でも、出来ることは何もないので、

いつもにように眠ることにして、
朝、パンを焼いて持って行くと決め、
おやすみなさいと挨拶をして、
お互いの部屋に戻ることにした。

なんて良い子だ。
日曜の朝に生まれてくるなんて。
マスターは遥香さんにぴったり付き添えるし、
お休みなので、私達もすぐに会いに行けるよね。

焼き立てのパンもたっぷり持って行ける。

私に出来るのはそれぐらいだけど。
ベビーちゃんに会えるのをすごく楽しみにしているんだよ。

同じように出来ることのない大和さんは、
ついつい買ってしまった
山盛りのベビーのオモチャを抱えて行く予定だ。
(マスターにきっと、『じいじ』と呼ばれるだろう…)
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