東の空の金星
「ねー、シマちゃん、ご飯行こうよ。」

と本日はお客様が少なくなった夕方にやって来た三島先生が

カウンターに座って私の顔を覗く。

「行きませんよ。平日は夕飯は外で食べません。」と言うと、

「じゃあ、シマちゃんの家でご飯。」

「私は夕飯はここで食べるんです。」と言っていると、

大和さんが珍しく早く帰って来た。

今日は水曜日で、早く帰って来る日だとしても、早すぎる。


「お帰りなさい。」と声を出すと、

「シマ、まだ仕事をするから、飯にするとき声かけて。」と言いながら、店の中を通っていく。

「えっ?シマちゃんの彼氏?」と三島先生が大声を出す。

「ち、違いますよ。オーナーの藤原さんです。」

と私が言っていると、大和さんが立ち止まり、

「ああ。今晩は。三島先生でしたね。
この間、院長とのゴルフの時にお会いしましたね。藤原です。」

と三島先生に笑いかける。

「今晩は。ライバルかと思って慌てちゃいました。」と三島先生が微笑むと

うん?と大和さんは私と、三島先生を見比べ、

「じゃあ、シマ、上にいる。」

と私の頭をポンポンと撫でて控え室に入っていった。

ええ?
今のポンポンって何?

と体が固まり、顔が赤くなる。
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