東の空の金星
その店の前で三島先生と別れ、私は帰りの江ノ電に乗る。

まだ、帰りたくない。


海が見えたら、波打ち際を歩いてみたくなって、
ずいぶんと手前の駅でおりる。
ここはオシャレな店も並んでいて、観光客も多く、明るい雰囲気だ。

少しだけ、飲んで帰ろうかな。

もうすぐ日も暮れる。

もう、酔っ払ってもいい時間だよね。

明日は休みだし。早く起きる必要もない。

時間を確認しようとバッグからスマホを取り出すと、

大和さんからの着信が何件も入っていた。

「?」

また、着信がある。

私がスマホををスライドすると、

「なんで、電話に出ない。」と大和さんの怒った声。

「すみません、気がつきませんでした。」

「三島はどうした。」

「お茶を飲んだ後、帰りましたよ。」

「…そうか。シマ、今どこにいる?」

「由比ヶ浜。の駅の近く。」と言うと、

「海沿いの角のコンビニで待ってろ。」と電話が切れた。



…迎えに来るの?

車かな

飲みに行こうって思ってたんだけど…

オートバイはない…よね。

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