東の空の金星
せっかく、シマが整備に出してくれたしな…。
これは、シマのメット。山下さんが用意してくれてた。」

と私の頭に銀色のヘルメットを被せ、首元の金具を留めてくれる。

私はドキドキしすぎて、声も出せない。

「はい。乗って。」と大和さんが青いバイクに跨る。

私は後ろに跨り、大和さんのお腹にギュッと腕を回す。

大和さんはうしろを振り向き、

「シマ。おまえはなんのためらいもなく、俺の背中に捕まるんだな。」

とふっと笑って、

「しっかり掴まってろ。行くぞ。」

とエンジンをかけて、オートバイを発進させる。

言葉がでないほど、嬉しい。

私は大和さんの背中に頬をつけた。



海沿いを走って行くと、海が夕日に染まる。

「夕日が綺麗。」

とエンジンの音に負けないように大声を出すと、

「もう少し走るぞ。」

とスピードを上げた。
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