東の空の金星
それから

大和さんはオートバイで時々出かけるようになった。

ひとりで走る日も、山下さんと走る日もある。

私は役目を果たした気持ちで、とても満足だ。


時折、乗るか?と聞かれるけど、

大和さんの後ろは私にとって特別な場所なので、

今日は用事がある。と嘘をついて、断ることにしている。




あの場所は私の居場所にになる訳じゃない。

いつか他の誰かが乗るのだと思うと、

尻込みしてしまうのだ。


大和さんは少し残念そうな顔を見せてくれる。

それだけで私は満足だ。
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