東の空の金星
次の水曜日。

私と大和さんが一緒に夕飯を食べながら、

先週山下さんと行った箱根から見た富士山が綺麗だった。と大和さんが話していて、
私がニコニコ話を聞いていると、

大和さんのスマホが鳴って、
大和さんが電話に出ながら、食卓を離れ、顔をしかめて戻って来る。

「どうかしましたか?」と聞くと、

「母親。今度の日曜に帰って来いって、なんかお客が来るらしい。
何だろう?この間家箱根の帰りに寄った時はそんな事は言ってなかったのに…」
と首を傾げながら箸をとりあげて、食事を始める。

「…お見合いなのでは?」と小さな声で聞くと、

「まさか。あの人はもう、諦めてるだろ」と驚いてから私の顔を見て、

「なんで、見合いを勧められてるってしってる?」

「み、三島先生が…。」

「くだらない話を聞くな。いつも、断ってる。」
と不機嫌な顔をする。

「でも、この間も…」

「もう、その話はいいだろ。」
と芳江さん特製の唐揚げを口に入れた。


でも、きっとお見合いだ。

この間の綺麗なオトナのオンナのひと。

あの人はいつか…自分の趣味の為に

桜子さんのお店をなくしてしまうかもしれない…。
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