東の空の金星
大和さんの車に休日に乗るのは
滅多にない事だ。
少し緊張するけど、
大和さんはアッサリ助手席のドアを開けて、私を促した。

助手席に収まってちょっと息をつく。

…デート。かな？

いや、単なる気晴らし。だ。

と自分に言い聞かせるけど、

心はウキウキして、頬が緩むのを止められない。


「シマ、温泉がそんなに嬉しいのか？」と顔を覗かれ、鼓動が跳ね上がる。

「温泉って随分と久しぶりです。」とちょっと顔を赤くすると、

「そうか。俺も5年ぶりだ。」と大和さんも微笑んで、ハンドルを切る。

空も海も深い青。

すっかり秋に終わりの空だ。



高速道路を乗り継いで、1時間少しで、箱根に着いた。


箱根の日帰り用のの温泉は
新しい施設だったようで、綺麗で、結構人が多い。

「案外混んでるな。シマゆっくりして来ていいよ。」と大和さんが言ってくれ、
女湯に向かってキョロキョロしながら向かっていった。

脱衣所で髪をあげて、
洗顔石鹸と、好きなハーブの匂いのシャンプーとボディソープを持つ。

お風呂は外にあって裸でウロウロしながらいくつかに別れた温泉に順番に入った。

気持ちいい。

お湯の中から青い空を見上げる。

周りは木々や、岩に囲まれのんびり出来た。
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