東の空の金星
待ち合わせた大広間はくつろいで食事をしたり、テレビを見たり、
寝転がったりしている人がたくさんいた。

床暖房でほんのり温かいので快適だ。

私は冷たい水を買って大和さんを探す。

窓際に寝転ぶ大和さんを見つけ、近くに行くと、

荷物を枕にすっかりお昼寝しているみたいだ。

風邪をひくかしら。

私は自分の薄いコートをそっとかけ、少し濡れている髪に触れる。

やっぱり癖っ毛だな。

とひとりで微笑み、大和さんの隣に座って、

スマホに入っている本を読む事にした。

しばらくすると、

「シマ。いつ来た?起こして良かったのに。」と私を寝転んだまま見ている。

「30分ぐらい前です。
気持ちよさそうに眠っていたし、今日はちっとも急いでないでしょ。」と笑うと、

「喉乾いたな。」

「何か買って来ましょうか?」

「それ、飲んでいい?」と飲みかけの水を見るので、

「ちょっと温くなっちゃったかも。」

「いいよ。くれる?」

と言ったので、どうぞ。と手渡すと、ゴクゴクと一気に飲んで、

「はー。ビール飲みたい。」と笑った。

「残念。車でしたねえ。」と私が笑うと、

「今度は泊まりがけで来るか。」とつぶやき、ハッとして、私の顔を見て、
「えーと、将太と、遥香ちゃんと、美羽ちゃん(みうちゃん。は夏に生まれた女の子の名前だ。もちろん大和さんはデレデレだ。)も一緒に。」

と慌てて言うので、私が誘われたなんて誤解しないって。
と可笑しくてクスクス笑いながら、

「いいですねえ。
美羽ちゃんが外遊び出来るようになったらみんなで行きますか?
遥香さんよろこぶだろうなあ。
きっとゆっくりお風呂に入れていないだろうから。」と言うと、

「いい考えだよな。社員旅行。暖かくなったら考えよう。」と笑った。
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