恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
突然奥のドアが開いて
「念願の救命医、連れてきたぞー」と救命科部長(小さなクマのようだけど、目つきが鋭く豪快な人だ。)の柳(やなぎ)医師が大声で入ってくる。
続いて後ろからもうひとりやってきた。
新しい救命医かな…
浅黒い肌をした長身の男30代後半に見える。
ガッシリした上半身を折り、
「本日赴任してきました、尾崎竜也です。
まだ、東京に仕事が残っているので、半年間は週に3日の非常勤勤務になりますが、…」
とひとりひとりにきちんと視線を合わせていたのが、
急に驚いたように、私を見つめ、
ズカズカと人垣を抜け、
座ったままの私の瞳をギュッと覗き込む。
「…奈々だろ」と両腕をつかんだ。
だ、だれ?
顔が近い、あなた、ヒトとの距離の取り方が間違ってますよ。
言葉の出ないわたしに、
「10年経つと、恋人の顔を忘れるのか、酷いヤツだ」と立ち上がらせる。
「え?」
チョット待て、
自慢じゃないけど、恋人と呼べるのは、2人だけだ。
高校時代に付き合った幼馴染と、
25歳の時から、ほぼ2年付き合った修一しかいない。
その自信にあふれた黒い瞳も、
少し上がっている目尻も、、
通った鼻筋に、大きめの少し厚い唇も、
緩くウェーブのかかった短い髪も、
まるで覚えがありませんけれども。
「念願の救命医、連れてきたぞー」と救命科部長(小さなクマのようだけど、目つきが鋭く豪快な人だ。)の柳(やなぎ)医師が大声で入ってくる。
続いて後ろからもうひとりやってきた。
新しい救命医かな…
浅黒い肌をした長身の男30代後半に見える。
ガッシリした上半身を折り、
「本日赴任してきました、尾崎竜也です。
まだ、東京に仕事が残っているので、半年間は週に3日の非常勤勤務になりますが、…」
とひとりひとりにきちんと視線を合わせていたのが、
急に驚いたように、私を見つめ、
ズカズカと人垣を抜け、
座ったままの私の瞳をギュッと覗き込む。
「…奈々だろ」と両腕をつかんだ。
だ、だれ?
顔が近い、あなた、ヒトとの距離の取り方が間違ってますよ。
言葉の出ないわたしに、
「10年経つと、恋人の顔を忘れるのか、酷いヤツだ」と立ち上がらせる。
「え?」
チョット待て、
自慢じゃないけど、恋人と呼べるのは、2人だけだ。
高校時代に付き合った幼馴染と、
25歳の時から、ほぼ2年付き合った修一しかいない。
その自信にあふれた黒い瞳も、
少し上がっている目尻も、、
通った鼻筋に、大きめの少し厚い唇も、
緩くウェーブのかかった短い髪も、
まるで覚えがありませんけれども。