恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
若者達の食欲は旺盛だ。

キッチンで、手巻きずしをいくら巻いてもすぐになくなる。
酢飯に刻んだ大葉と、シソの実、ゴマ、が混ざっているのも
気に入ってもらえたらしい。
箸休めに梅肉を叩いて大葉に合わせた細巻きはお酒のつまみになっている。

どの料理も美味しいと言ってもらえてよかったと胸を撫で下ろす。
角煮に添えたトロトロの半熟に仕上げた煮卵も好評だった。
これは、柔らかく茹でたものをリュウが丁寧に20個も剥いていて
ここぞとばかりにリュウが自慢する声が聞こえてくる。

涼子先輩はソファーとキッチンを行ったり来たりして、ゆっくり出来ていない。

「手伝いに来てもらったみたいで、すみません」というと、
「また、今度ゆっくり来るから大丈夫。柳先生のことは任せておいて」と笑い、

「ナナコちゃんこそ、大変だったね」とねぎらってくれた。

私は、料理は好きだから、平気です。と笑い、

「それより、リュウ先生が飲まないように見ててもらって良いですか?
今日夜勤だから」と言うと、

「なるほどね、菅原先生が妬くはずだ」

と涼子先輩はふふっと笑って、リュウにウーロン茶を運んでいった。
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