恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
みんなはどっと笑いだし、
「すごくさっぱりしてて、美味しい」
「ライムが効いてるんだ、美味い。」
「ナナコさん、サイコーに美味いです。」
と、リュウに向かって声をかける。


「お前ら、みんな帰れ!」とリュウは怒っている。

「ナナコ、俺のは?」と、情けない声をだす。
「ワインの泡消えちゃうからなあ、明日は美味しくないよ。
また、今度ね」と他のお代わりの人によそいながら、慰める。


「次は絶対、夜勤の日には集まったりしない」とリュウの誓う声に、


「次は、リュウ先生がいない時に来たいな」と菅原先生はリュウに向かって、言う、

「こら、お前は、俺のいる時限定だ!」と、怒った声のリュウ。
「じゃあ、月曜と火曜、かな」
「週に2回も来るな!」

「じゃあ、何曜日?」と菅原先生はリュウににっこり聞く

「……火曜日」としぶしぶ返事をする。

と、菅原先生はクルリと後ろを振り向いて

「リュウ先生に火曜日の許可を頂きました。
次の集まりはナナコちゃんの都合のいい火曜日に決定です。」と宣言する。

みんなの拍手。
私は固まり、

リュウは
「くそー。嵌められた。」と悔しがった。

「またね、ナナコちゃん、料理どれも美味しかった。」
と菅原先生が私にハグしようとして、リュウに邪魔される。

「菅原、酔った振りは止めろ」とリュウは笑う。
「ばれた?」と、機嫌よく出て行き、全員帰って行った。



「あいつら絶対また来るよな」と深い溜息をつく。

「楽しかったから、大丈夫。」とリュウの顔を見てくすんと笑う。

そうして、火曜日限定の「和食屋ナナコ」が始まったのだ。

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