恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
「ナナコ、急ぐぞ。
河原でバーベキューしてた15歳の子供が腹痛で受診したら
妊婦で、陣痛だったらしい。
1度も受診していないからはっきりした週数はわからない。
エコーでは推定32週で、1700グラム前後らしい。
陣痛は止められない。」と西島先生が私に言う。

「産婦人科の伊藤先生は?」

この病院で週3回ある妊婦検診だけのために外来を担当する、
おばあちゃん先生が今日はいただろうか?

「あいにく、今日は外来日じゃない。
いま、連絡とってもらっているが、間に合うかな?」と、廊下を急ぐ。

救急外来のドアを開けると、
少女の泣き声と、多分両親の取り乱した声が聞こえてくる。

リュウは私達を見ると目配せして、
「破水した。
ベビーはチビだから早く生まれてくるよ」と小声で言う。

両親達は驚きや、怒りで、支離滅裂だ。

当然だ。
柳部長が、処置室からなんとか連れ出し、
処置室にはリュウと看護師数人と私達、そして少女が残った。
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