恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)

夏の日。

7月の最後の日曜日。

院長主催で河原でバーベキューが、毎年開かれる。

院長が張り切って、仕切っているので、
病院内の中枢はもちろん強制参加で、
他の職員たちも家族連れで参加する、
クリスマスと並ぶ(クリスマスは入院患者さんのために職員が出し物をする)おおきな イベントだ。

各部署から担当者が決められ、5ヶ月も前から念入りに準備されるのだ。


リュウも土曜の夜に戻ってきている。
私も、桜子先生や、リュウと仲が良いのは周知の事実で、
開催側にカウントされ、豚汁担当にされている。
リュウは焼きトウモロコシ担当になっている。

俺はまだ嘱託の立場のはずだけど、とブツブツ言うが、
それを言うなら、私だって、まだ、非常勤の立場だ。

目立ちすぎるリュウと一緒にいると、何かと声をかけられてしまう。

当日朝8時。
何を着て行こうかとちょっと考えて、立ち止まると
リュウが、私を、せかす、
「早くしないと、壮一郎迎えに来るぞ」という。

山岸さんが車で迎えに来てくれる事になっているのだ。


「一応女の子なんだから、
リュウのようにデニムシャツに黒ジャージって訳にはいかないでしょう」と言い返すと、

「俺、こないだ買ってた、白のヤツ好きだけど。」と笑った。



一緒に買い物した時の事を思い出し、キュッと胸が痛む。

あの時、デートみたいで楽しかった。と思う私と、
リュウには東京に大切な人がいる。と思う私がいる。
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