恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
会場に着くと、もうたくさんの人が準備に入っている。
私たちもそれぞれ準備に没頭する。

お昼が近くなって、どの場所からも良い匂いが立ち上ってきた。
私も、大きな寸胴鍋3個に味噌を入れ終え、ひと安心だ。
周りのスタッフと笑いあう。
今日子ちゃんも同じグループだ。

「あの人、相変わらず、マイペースなひとですね。」と口を尖らせる。

視線の先にはリュウが焼き上がったトウモロコシを食べている。
こら、店番が先に食べてどうする。と小さな声で今日子ちゃんが突っ込む。

「ほんとうに」とわたしが笑うと、今日子ちゃんが
「あの人、周りのにいるひとをぐいぐい引っ張って、笑顔にする。
嫌いと思ってるのに憎めない。
…奈々ちゃん、あのひとが好き?」と真面目な声で聞く。

「多分…好き。
でも、大切な友達なの。
彼には…東京に恋人がいると思う。…だからね、大切な友達。」

と自分で「好き。」と言葉に出来たことで、リュウを好きだと再び自覚する。

今日子ちゃんが
「あの人、東京に恋人がいるって、そういったんですか?」私は横に首を振る。
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