恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
「だから、大丈夫じゃないだろ、大人しくしてろ」と、怒った声。

「ナナコちゃん、今日は患者さんだから、」と凉子先輩にたしなめられる。

ハイ、すみません。

桜子先生も笑って、
「リュウの好きなようにしてやったら、
…ナナコちゃん、来週の 月曜日仕事終わったら、連絡して。
一応診察予定にしておく。」と、診察室をリュウと話しながら出て行った。

やれやれ。

凉子先輩が
「今日は天気が急に変わったから、喘息の患者さん、救急外来に何人か来てる。
喘息発作は、急に悪くなるの知ってるでしょ。
発作が抑えられなかったら、早く受診する事。」と、頭をポンポンと撫でられる。

廊下に出ると、菅原先生が待っていた。
「喘息発作だって、大丈夫?」と、心配そうにしていた。
「風邪ひいたから、発作が出ちゃったみたい。
吸入したら、楽になりました。」と言ったが、また、咳が出る。

「ごめん、喋らせないほうがいいね。」
と言って、菅原先生はそっと、私の背中を撫でて、私の咳が、治るのをまっている。

リュウが戻って来て。
「こら、菅原、サボってないで、仕事しろ」と声をかけた。

菅原先生は
「ナナコちゃん、ぼく、明日の朝、勤務終わったら、部屋に寄ろうかな
…心配だし。リュウ先生は東京でしょ。」と、リュウを無視して、私の顔を覗く。

顔が近い。

「私、明日は仕事だから…」と言っている途中で、

「菅原。週末も俺がいるからおまえは来なくていいよ」と菅原先生の肩を掴んで、私から引き離す。

「なーんだ残念。ポイント稼げると思ったのに、リュウ先生、いるんだ。」と笑って、診察室に戻って行った。

「ナナコ、帰るぞ」

と不機嫌な顔をして、私の手を掴み、ゆっくりと歩き出す。

リュウ、東京に行かなくていいの?
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