恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
じきにリュウがやってきた。
私たちの姿を見て、ちょっと、目を見張る。
私は、リュウの目に綺麗に映ったらいいなとおもう。

桜子さんが
「ハイ、荷物。」と私の手をリュウに握らせて、にっこりする。

「なんだよ、桜子が一緒に戻ればよかっただろ。」リュウは私の手を握ったまま、文句を言う。

「ナナコちゃんの浴衣姿を1番に見れたんだから、文句は言わないの。
それに、これから私は別行動です。
涼しいホテルの窓から花火を見るんだもん」と笑う。

「なんだよそれ?!そんな技があったら、早く言えよ!」とリュウは怒る。

「だって、花火の話の時、私はいなかったし、
ホテルから花火をを見るって、オトナの常識でしょ。」じゃ、と私をみて、

「私はこれからプロポーズされに行ってくるので、あとは、よろしく。」とドアに向かう。

リュウは口が開いたままで
「なんだそりゃ…」と、呟く。

桜子さんは振り向いて、
「私は、実は、妊娠しちゃっているのよ。
責任取ってもらわないとね。お先に失礼。リュウ先生。」と晴れやかに笑って、部屋を出て行った。

リュウはしばらく呆然とした後、私の顔を見て

「壮一郎か…?」と聞いた。

私が頷くと
「なんだ、…そうか!」と笑い出し、

ハッとして、
「もしかして、先を越されたって事か?」と頭をかかえたまま、また、笑い出した。



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