恋人未満のルームメイト（大きな河の流れるまちで。リメイク版）

両側の男性が順番に挨拶してくる。
商社マンのようだ。
高そうなスーツに、営業スマイル。

こんな綺麗な人に会えて、今日はラッキーだなと、きちんとお世辞も忘れない。
隙のない感じがちょっと、怖い。
食事会と称した合コンはスムーズに進む。
自分の作り笑いがバレないかと心配しながら、隣の男性とにこやかに話す。

この後、2人でもう少し飲みに行きませんかと、
右隣のオトコが顔を近づけてくるので、
少しずつ、避けて、椅子の端に体が寄ってしまう。
こら、顔が近いよ。と心の中で思っていると、

美波が「ナナコ」と呼んでいる。
顔を向けると、

「あと何回か合コンしたかったのに、案外こらえ性のないオトコだったね」と訳がわからないことを言う。

「？」と思うと、

前にいた女の子達の目が見開かれ、
私は急に後ろから腕が掴まれて、立ち上がらせられた。

驚いて振り向く。


「リュウ！？」

リュウが息を乱し、不機嫌そうに私の腕を掴んで立っている。

美波が笑って、
「私に連れ出されるのが嫌なら、ちゃんと捕まえておけば？」とリュウに言って、

「うるせーよ、こんな恥ずかしことさせやがって、覚えとけ！」

とリュウは私の腕をつかんで、歩き出す。

ど、どうなってるの？



リュウは、

「ナナコも、なんでスカートなんか履いてんだよ！？」

とかなり不機嫌だ。