恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
「でさ、ナナコ。気になってるなら、なんで聞かなかったわけ?」と口の端をへの字にする。

「…どうしても、聞けなかったの」と、小さな声で続けて、
「…えっと、リュウに恋人がいるかもっておもったら、聞けなかった。
10年ぶりに会って、一緒に住んで…
リュウがどんどん近くに感じられて、
今まで、凄く楽しくて、…
恋人がいるって分かったら…
今までみたいに一緒にいられないって思ったら、だって…」

としどろもどろにいってなっていると、リュウが口を挟む、

「ちゃんと俺に聞け!聞く時間はいくらでもあっただろ!」

怒ってるよね、でもさ、

「だって、リュウに聞いたら…
恋人が他にいるって返事されたら…」涙が勝手に溢れてきた

「私はどうしたらいいのかわからないって…そう…思って…」


私をみつめたまま、動かなくなったリュウに、不安になる。


「…リュウ、あのね。
私はリュウが…」と勇気を出して好きって言おうとすると、

「…ダアアアア〜!」っとリュウが頭を抱えて突然変な声をだし、

「帰るぞ、ナナコ」ときっぱり顔を上げる。

「ど、どこに?」

「2人の部屋にだろ」とリュウはニッコリ笑って車を降りた。
< 178 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop