恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
リュウは、私の手をつかんで、先に階段をあがる。

どんな顔をしているのかわからない。
私は、リュウに恋人がいないと分かって、ホッとして、思考が停止したままだ。


玄関に入って鍵閉めたと思ったら

リュウが私を壁に押し付け、
「ずっと、こうしたかった。」私の唇に唇を押しあてる。

ゆっくりと、舌で唇をたどり、

「ナナコ、好きだよ」と掠れた声で、私の瞳を覗き込む。

リュウの瞳に私の瞳が映る。

私は目を閉じ、小さな声で、
「…私も、好き」とつぶやいた。

リュウは私の言葉を聞いて、深く唇をかさねてくる。
角度をかえながら、私の口の中を舌で探る。
私の舌を捕らえると、絡め合わせる。
どんどん激しくなる口づけに、私の体から力が抜けて
自分の身体を支えていられなくなっていく。

「しょーがねーな。」とリュウは唇をはなし、靴を脱ぎ、ヒョイと私を抱え上げる。
俗にいうお姫様抱っこだ。

「軽い。もっとちゃんと食え。」と、笑って、そのまま、ソファーベッドに連れて行く。

「リュウ、わたし、靴履いたまま…」と言ったけど
「いいんだよ、どうせ、俺が全部脱がせるんだから…」

と私の顔を楽しそうに見つめるので、
私が身を固くすると、

「まさか、キスは出来るけど、
それ以上はダメとか、言わないよなあ?」

と、靴を脱がせ床に落として、
眉を寄せて私のブラウスのボタンを外しながら確認してくる。
< 179 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop