恋人未満のルームメイト（大きな河の流れるまちで。リメイク版）

リュウはやっと顔をあげ、
「また、看護師のスキル上げちゃったね。」と笑顔を見せた。

私の背中に腕を回し、ごろりと回って、リュウが下になる。

私の身体をゆったりと抱きしめて、
「少しは、俺の気持ちも考えてくれないかな ？ナナコちゃん」

「ナナコが、いろんなモノを乗り越えて俺と向き合ってくれるのをずっと待ってた。
結構長かったよ。
ナナコ鈍いし、俺のこと友達としか見てないみたいだし、
キスもさせてもらえない。
9月の終わりに引っ越すってきめてるのにさあ、
どうやって、距離を縮めたらいいかずっと最近悩んでたけど…
俺らしく直球で行こうって決めて戻ってきた。」と話し出す。

「そしたらさ、ナナコは俺に他にオンナがいるって思ってたってさあ、
そりゃ、まあ、これ以上近ずけないって思うよな。
ナナコはきっと相手のオンナの気持ちを考えて、
自分の気持ちは出来るだけ出さない。
でさ、ナナコは俺に口説かれてるってわかってた？」

「なんとなくてリュウが、私のことを好きかも しれないって感じたけど…
それって仲の良い友達って事かなって思ってた。」と、返事をすると、

「俺はさあ、友人なんて思ってないよ。」リュウは盛大に溜息をつき、
「うん、でも、やっと誤解は解けたな。」とひとりで納得している。