恋人未満のルームメイト（大きな河の流れるまちで。リメイク版）

「奈々ちゃんが仕事に戻れるなら、
振られても構わないって言ってたけど、
ここに改まった格好で奈々ちゃんが来たって事は
お付き合いを始めた報告かしら？」と、嬉しそうに聞いてくる。

私はゆっくり頷く。

「よかった。
私達このまま奈々ちゃんが誰ともおつき合いしなっかたら、
ご両親にどう謝ったらいいか、わからないわ。
修一が急に勝手にいなくなってしまって、私達も大変だったけど、
奈々ちゃんをとても傷つけたわね。ごめんなさい。
でも、本当に良かった。」と、お母さんはちょっと涙ぐんでいる。
私も涙が落ちた。

お父さんは
「あの男は挨拶に来たっていうより、修一に宣戦布告しに来た感じだったぞ。
修一の写真をジッと見て、絶対に負けないって言ってた。
それぐらい本気の男じゃないと、奈々ちゃんは任せられないからね。」と笑って言って、店に戻って行く。私は声を出さずに泣き続けた。