恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
「さてっと」リュウは私に向き直り、

「ナナコ捕獲。」

と私の手をにぎって、スタスタ歩き出す。

「しゅうちゃん、後でまた来るよ」
とリュウは空いている反対側の手ををひらひら振って病室をでる。

「約束だよ」というしゅうちゃんんの声に

「後でね」と廊下から返事をする。


「チョット、なんで引っ張るの!?離して欲しいんですけど」

と握られたままの掌に気がつき、顔がカッと赤くなっていくのがわかる。

「嫌だね、離したら逃げるだろ」とエレベーターのボタンを押す。

「離してよ!」

「イ・ヤ」

と言い合っていると、スタッフが、面白そうに足を止める。
やってきたエレベーターに慌てて乗り込んだ。

恥ずかしすぎる。

エレベーターに乗り込み二人きりになると、
「今さあ、救急外来に、気胸と思われる高校生が来てる。
レントゲン撮りにいってるから、それ見て、すぐ処置に入る。」

「へ?」

それはなんの説明ですか ?



「人手が足りないの、
だから、ナナコ処置に付いて」とリュウは私の瞳を柔らかく見つめる。


「あたしが?」


「そう、ナナコが。」

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