恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
救急外来に着くと、涼子先輩が待っていた。


「はい、髪結んで、これを着て」

と ニコニコして、髪ゴムと使い捨てのガウンを渡してくる。

「涼子先輩、私はこんなつもりじゃ…」という言葉を最後まできかず、

「患者さんを待たせない」と叱られる。

リュウは知らんぷりで
患者さんと家族にレントゲンを見せながら説明をはじめる。
「やっぱり気胸ですね。そう珍しい症状ではありません。
まあ、初回だし、軽い症状なので、
肺の周りの胸膜に針で穴を開けて、
小さな器具を取り付ければ、今日は帰っていいよ。
ただし、運動はダメ。」と絵を描いたりして、更に詳しい話をする。

話しながら
「上川さん、処置するから準備して」と私に声をかける。



観念した私は大きなため息をついてから
手早く着替え、準備をする。

「尾崎先生、手袋のサイズは?」

と滅菌手袋のサイズを確認すると、ニヤニヤと嬉しそうに

「ナナハン(7と2分の1サイズ)」と答え、

「ルート取るよ」

と点滴の準備に移った。

私はちょっと考えてから救急カートに入った薬品もひとつ手にとって、

リュウのそばにたち、処置についた。
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