恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
じゃあさ、と昴は
「何で、あんたみたいに見た目も良くて、医者なのに、37歳まで独身だったの?」と遠慮なく聞く。(きっと両親も気になるよね。)

それは、
とやっと声が出るようになったリュウが腹筋を撫でながら、
「勿論、付き合ってきたの女の人が居なかった訳ではないけれど、親に言われて、結婚を考えた時に、奈々さんの笑顔を何度か思い出すようになっていました。
4年前に父親が突然死んでしまう前には見合の話もありましたし…
うちの親達は、結婚は家と、家を結びつける契約のようなものだと、考えていたので、僕にもそれを求めていたんですね。
でも、父が死んで、見合いはなかった事になりました。
大学の医学部長を父に持つ自分でなければ、結婚の意味がない。と思う相手だった訳です。
ちょうど、僕にも好都合でした。
大学病院より、患者さんに近い場所で、仕事がしたいと思っていたからです。
1年後に、大学病院を辞めて、恩師に勧められるまま、海外でボランティアをする事にしました。
何もないところでどこまでやれるか、試してみたかったのと、
これからの人生についてゆっくり、考えてみたかったからです。
そして、ここにきました。
奈々さんにもう1度あいたかったからです。
僕らが、10年前にあった時、
お互い、未熟でだった事もあって、
僕は自分の気持ちを奈々さんに伝える事ができませんでした。
勿論10年も経っているから、
奈々さんが他の男と結婚しているかもしれないと思いましたが、
自分の気持ちに蹴りをつけるつもりでした。
まあ、奥手な奈々さんはまだ1人でいたので、少しづつ、警戒されないように近づいて、お互い仲良くなっていったという訳です。」と、かなりソフトな表現をした。
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