恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)

リュウの日常。

6月。
雨の季節。
家のリビングには紫陽花の花が飾ってある。

ベッドのナナコが身動きしたので、深く抱き直して目を閉じておくと、
「おはよう」と寝たふりの俺の髪を梳いて額にそっとくちづけしてくれる。

毎日の習慣。
俺はナナコの柔らかい「おはよう」の声が聞きたくて、
俺を起こさないようにそうっとくちづけしてくれるのが嬉しくて、
起きていても、ナナコが起き出すまで、寝たふりをするようになっている。

まあ、そっと額にくちづけされるとまた、
安心して眠ってしまったりもよくするけれど、
愛情表現の苦手な(ナナコはいつになってもウブなままだ。)ナナコの数少ない
愛してる。が確認が出来ることなので、
朝の寝たふりは俺の大切な朝の仕事になっている。

ナナコが身支度をして、再び起こしに来るまで幸せなまどろみを満喫している俺は
結構な幸せ者だと自負しているってところだろうか?

起こしに来たナナコに「おはようのキス」をちょっと長めにしてから
俺はスポーツウェアに着替えて、
マンションの1階にあるスポーツジムに向かうのが朝の日課だ。
軽くマシンで身体をほぐし、バイクのマシンで負荷をかけて30分ほど汗を掻く。
壮一郎もこの時間にやって来て、並んでバイクを漕いだりもする。
ナナコの美味い飯を食うには欠かせない習慣。
…後、未来の子どもの運動会で活躍すると自分に誓っているためでもあるけど…

もうそろそろ、子供ができてもいいかな?
ナナコも仕事に慣れて来ただろうか?
ナナコも子どもは欲しいって言っていたし、

あの家は少し、広すぎるので、
子どもが出来たらお手伝いさんをお願いしようと、俺は考えているので、
桜子にお手伝いさんを紹介して欲しいって頼んであるし、

ナナコに一応確認をして、
早速実行あるのみ。

と俺は最後の仕上げに更に負荷をかけて、バイクを漕ぐ事に熱中した。


< 263 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop