恋人未満のルームメイト（大きな河の流れるまちで。リメイク版）

今朝も早く目覚めてナナコを抱き直し、

ナナコが起き出すのを待っていると、

「おはよう。…パパ」とナナコがそっと呟いて俺のひたいの髪をかきあげたので、

パパって
言ったか？

と俺は驚いて目を開けてしまうと、
至近距離でナナコの瞳と見つめ合う。

「パパって…俺？」

「えーと、気のせいかな？」

なんで？

「…誰がパパ？」と思わず呟くと、

「へ？
私のお腹の子どもの父親はリュウに決まってますけど…
もう、なんで起きてるかな？
まだ、婦人科に受診してないから、
確定じゃないって事です。
…ぬか喜びさせたくなかったのに…」とナナコは不機嫌な顔を見せる。

「お腹に子ども？」

「聞いてる？
確定じゃないから、まだわからないです。」

「俺の子ども？」

「リュウ、聞いて。
まだわからないって！」


俺はナナコをぎゅうぎゅう抱きしめ、ふと気づいて力を緩める。

やばい。子どもが痛がるか？！


「もう、しょうがないな。
簡易検査では陽性です。」とナナコが俺の腕の中で笑ったので、


俺は声がまた出なくなって、
ナナコを抱きしめたまま、俺はベッドの上をゴロゴロ転げ回った。


「仕事休んで婦人科行くぞ。」とナナコの耳に囁くと、


「ひとりで行けます。ちゃんと仕事してください。」とナナコが呆れた声で返事をした。

いや、行くだろ。エコー見たいし！！

「診察終わったら、仕事に行く！」と俺はナナコを抱えて飛び起き、

「ナナコ、早く！」と嬉しくてナナコを急かして家の中を走り回る。


「…やっぱりリュウって大型犬。」

と小さな声で言ったナナコ。


ナナコには俺が見えない尻尾をブンブン振り回しているのが

最近見えるようになっているのかもしれない

とちょっと思ったことはは無視しておこう。