恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
「お弁当にしますよー」

と声をかけると、リュウと一緒に駆けてくる小さな男の子。

「ママ、ぼくが1番だよ!」と靴のまま私の胸に飛び込んで来る。
私達のこども。虎太郎(こたろう)3歳だ。

虎太郎という名前はリュウのお母さんが名付けた。

「こら、チビ虎、靴を脱げ。」とリュウは笑いながら靴を脱がせている。

リュウは30代最後の年で念願の父親になり、
保育園の運動会で、若い父親に負けないためと、
私の料理を美味しく食べるためにと言って、ジム通いを欠かさない。
マンションの地下に併設されたジムでよく壮一郎さんと一緒になるみたいだ。

桜子さんと壮一郎さんの子供は、虎太郎より、ちょうどひとつ年上であやめちゃんという女の子だ。
2人は同じ保育園に通っていて、仲良しだ。
私は、日中だけの勤務で、ほとんど残業もないので、
桜子さんが忙しい時はうちであやめちゃんを預かったり、
一緒にご飯を食べたり、お風呂に入れたりしていて、
そのまま、大人達もうちで夕飯を食べている事が、週の半分位ある。

忙しいリュウの代わりに壮一郎さんがが虎太郎の参観日に出たり、
週末はあやめちゃんと一緒に公園に連れ出してくれたりするので、
お互い助かっている感じだ。
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