恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
飛び出した猫をよけて、反対車線の大型トラックにぶつかったのだ。
彼の乗った軽自動車は大きくひしゃげ、
大腿部の動脈を切った。

前の潰れた車から、大きな体の修一を運び出すのに出すのは大変だったらしい。
出血多量で病院にたどり着いた時には、もう、手の施しようがなかった。


わかっている、

私が看護師として勤めていた病院に搬送されたのだから…

息をしていない彼のからだに白衣のまますがりついたのは覚えているいるけれど、
後のことはよく分からない。

気づいたら、友人の家のベッドの上だった。
ベッドから起きると目眩がした。

恋人が死んだと頭では理解していたが、
なぜ隣にいないのか分からなかった。

私が泣いているといつも涙を拭いてくれたのに…
なんでここにいないのだろう?
と不思議に思っていた。

ただ、涙だけが流れ続けた。

葬儀が終わり、
3日後には自分の部屋に帰り、
ぼんやりベッドの上で過ごした。


一週間後に仕事に戻った私はいつも以上に仕事に集中した。
ミスはしなかったと思う。
仕事していた方が楽だったからだ。

家に帰るとずっと泣いていた。

涙はいくらでも流れた。
疲れれば眠ったし、
食事もちゃんと食べた、
同僚ともキチンと笑った、


ただ、体重だけがどんどん減っていって

半年経ったところで看護部長に呼びだされた。


健康診断で体重が40キロを切ったのが問題になったようだった。
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