恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
まあ、今はアルバイトの身の上なので、高い家賃が結構キツイ。
遊ぶお金はないし、
来年あたりには河の向こう岸にある実家に帰ることも考えていた。

でも、また、看護師に戻れるチャンスがやって来た。
6ヶ月後にはもしかしたら、
キチンと仕事ができたら、ここに住み続けていけるかもしれない。

…そう、
リュウには感謝しなくてはいけないのだ。
と改めて思う。

「ナナコ、まだあ?」と玄関に残したままのリュウから声がかかる。
洗濯物を手早くかたずけ、寝室に仕舞う。

「どうぞ」と顔を見ると、
「ナナコ、トイレ貸して、漏れそう」とホッとした顔のリュウ、

早く言いなさいよ、
廊下のドアを指差して私はリビングに戻った。


トイレ済ませ、リビングに入って来たリュウは
「結構、広いじゃん」と辺りを見回す。

「あまり見ないで、…それと、トイレぐらい貸してって、なんで早く言わないの?」と、呆れると、

へいへいと頷きながら、
「あまり見ないよう、努力する。
だって、ナナコが鍵を開ける前にトイレ貸してって言ったら、
…なんか、ズルい感じになるじゃん。」

と、照れた顔をした。

そういえば、結構真面目なオトコだったかな。
非常階段で隣に座って腕が触れたりすると、
昔は慌てて離れていたのを思い出す。

…今じゃ腕や手を掴んだり、平気な顔でしてくるけどね。
(この間体重を測る時はは抱き上げられた気もするし…)
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