恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
「ハイ、そこまで」

と私の頬に触れた指を掴む手が現れる。

山岸壮一郎だ。
なんでここにいるの?

「菅原先生、リュウの留守にナナコちゃんを連れ出すのは、反則じゃないの?」
と笑って言うが、目はちっとも笑っていない。

菅原先生は、山岸さんの手を払って、
「先にルームシェアなんて、反則技を使ったのは尾崎先生だろう」
と、不機嫌な顔をし、
「こんな所まで邪魔しに来るなんて、君は大した友達だな。
いつからついて来てたんだ?」と怒った声で言う。

「不本意ながら、
病院で先生がナナコちゃん連れ出す所を目撃したから、仕方なく…ね。
でも、ちゃんと話しはさせたつもりだけど、
…2時間経って、店に入ったらこの有様だ。
もう、話しは終わったろ、ナナコちゃん、帰ろう」と私を促して立ち上がらせる。

菅原先生は、もう一言だけと、
私を座らせ、
「ぼくは本気だよ。
10月には君たちのルームシェアは解消の予定だろ。
あの、強引なオトコが嫌になったら、僕の所に来てくれないか?
結婚前提のお付き合いってヤツだよ。
ぼくは2度と失敗しないと誓っているから、
君を幸せにできると思う。
まあ、ぼくも10月までには、他の女の子と、別れておくから」
と笑って言った。

山岸さんは
「菅原先生、他の女の子たちでしょ、
何人かいたはずだけど」と笑う。
菅原先生は
「3人かな?」と、クスクス笑い、

「上川さんの事が好きになったから、
他の女の子は、もう要らないいんだ。」と爽やかな笑顔を見せた。
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