恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
「上川さん、僕とキスしてみる?
僕ってきっとキスが上手いと思うんだけど…」と顔を近づけてくるので、

「菅原先生、酔ってますね」

と、じっと見つめると、菅原先生は目をそらし、

「残念。
嫌がる事はしないって約束しちゃったからな」と笑い、

帰るよ。と玄関に向かった。

靴を履いて振り向いて、
「尾崎先生はプライベートでは、リュウって呼ばれているんだね。
僕のこともツカサって呼んで欲しいな。ナナコちゃん」と言って、笑って、出て行った。



ドアが閉まると、私は大きく息を吐いて鍵をかける。

うーん、仔犬の皮を被った狼っていう、山岸さんの評価は当たってるかもと思う。

菅原先生とルームシェアなんてしたら、
すぐに食べられてしまいそうだ。

リュウはライオンの皮を被った大型犬ってとこかな。

一緒にいても危険は感じはちっともしない。

私は手を握りしめる。

手が冷たい。

けっこう緊張していたみたいだ。
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